【最新版】業務委託デザイナーの種別と相場を解説!
2024年12月6日
#事業戦略
目次
導入
急速に変化する市場やデジタル技術の進展により、外部の専門家を効率的に活用することが、企業にとって重要な戦略の1つとなっています。こうしたニーズに対応する手段として、デザイナーの業務委託採用が増えています。業務委託でデザイナーを採用する際には、業務委託のメリットやデザイナーの役割、採用事例、業界の相場などをしっかりと把握しておきましょう。
デザイナーの採用トレンド
近年、業務委託デザイナーの需要が急増しています。企業がフレキシブルなリソースを求める一方で、デジタル領域での急速な成長に伴い、専門的なデザインスキルを持つデザイナーのニーズが高まっていることが背景です。クライアントにとって、デザイナーを業務委託採用することは、正社員としての採用にはない柔軟性や即戦力の確保、コスト削減などのメリットが得られるという点が魅力です。また近年は、リモートワークの普及により、世界中から才能あるフリーランスデザイナーを容易に活用できる環境が整っています。
業務委託デザイナー採用のメリットと注意点
業務委託デザイナーを採用する場合、正社員と比較してコストや柔軟性、専門性、採用リスクなどの観点でメリットとデメリットがあります。状況に応じてどちらが適しているかを検討することが重要です。
稼働コストの削減
業務委託デザイナーは、福利厚生や固定費が発生しないため、プロジェクト単位でコスト管理が可能です。事業フェーズや社内状況に合わせ、必要なときにリソースを確保できるため、コストの最適化が図れます。しかし、単発のタスクや比較的簡単な作業など、内容によっては、長期間契約だとコストが累積し、意図せず高くなる可能性もある為、業務特性や目的に応じてスキルシェアマーケットなどのサービスと使い分けることも有効です。正社員の場合、長期的な固定コストとして計算しやすく、継続的な支出も予測可能です。一方、社会保険や福利厚生などがかかるため、費用そのものは高くなる傾向にあります。
即戦力の確保
業務委託の場合、プロジェクトに応じて必要なデザイナーを柔軟に確保できるため、短期~中長期間のタスクにも対応しやすいです。正社員は短期的なリソース確保が難しいですが、長期的なプロジェクトに専念でき、企業文化に適応しやすいという利点があります。
専門性のある人材の確保
業務委託デザイナーでは、プロジェクトに最適なスキルを持つ人材を柔軟に選定できます。特定のスキルが必要なプロジェクトでは即戦力を投入できますが、社内でのノウハウ蓄積が難しい点に注意が必要です。正社員には長期的に社内のノウハウを蓄積できるため、長い目で見た場合の会社の成長に寄与します。
採用リスクの低減
人材採用では、期待するスキルを持つ人材を完璧に見極めることは難しく、一定のリスクが伴います。業務委託の場合、期待に応えられない場合は早期に契約を終了でき、リスクを管理しやすい点がメリットです。正社員は成長やコミットメントが期待できるものの、ミスマッチが起こると対応が難しいリスクがあります。また、退職時には蓄積されたノウハウの断絶や、採用コストの無駄が生じるおそれがあります。
業務委託で活躍するデザイナーのスキルセット
業務委託デザイナーには、プロジェクトの内容や企業のニーズに応じてさまざまな専門性を持つデザイナーが存在します。ここでは代表的な業務委託デザイナーの種類と、その役割および求められる必要スキルを紹介します。
デザインオプスマネージャー
<役割>
サービス開発やブランド構築、UX設計、リブランディングなど、さまざまな業務を担当します。クリエイティブ業務を一気通貫で支援することで、事業のグロースを加速させます。
<必須スキル>
・コーポレート・事業アセットの整理
・ブランド戦略の策定・ガバナンスの推進
・リランディング
・クリエイティブチームの構築
・イノベーションの促進
・クリエイティブコントロール
ブランドプランナー
<役割>
企業のブランド戦略やコミュニケーションの構築を担当します。企業のブランド価値向上や市場でのポジショニング強化を支援します。
<必須スキル>
・ブランドエクイティの見直し
・ブランドコンセプトの設計
・VI・CI・BIの構築
・マーケティング戦略
プロダクトマネージャー
<役割>
新規事業開発や、製品の企画を担当します。マーケティングなどリリース後のグロース業務にも携わり、プロダクトの成功を支える要となります。
<必須スキル>
・市場分析/ターゲット設定/コンセプト設計
・顧客ニーズ調査
・製品企画/開発/リリース
・製品管理
・マーケティング/販売
・UI/UX設計
クリエイティブディレクター
<役割>
企業のウェブサイトやアプリケーションデザイン、ロゴ制作、広告バナーなど、消費者に選ばれるデザイン制作を包括的に支援します。
<必須スキル>
・コーポレート・ブランドサイトデザイン
・アプリケーションデザイン
・UIデザイン・コーディング
・LP作成・LPO
・DTP・バナー
・ロゴ・イラストレーション作成
プロジェクトマネージャー
<役割>
企業のウェブサイトやアプリケーションデザイン、ロゴ制作、広告バナーなど、消費者に選ばれるデザイン制作を包括的に支援します。
<必須スキル>
・プロジェクト管理
・予算・工数管理
・KGI、KPI管理
・リスク管理
・コミュニケーションスキル
UI/UXデザイナー
<役割>
ユーザーの体験を改善するインターフェースデザインを担当し、製品やサービスの使いやすさを向上させます。
<必須スキル>
・ユーザーリサーチ、ユーザビリティテスト
・ワイヤーフレーム作成
・Adobe XDやFigma、Sketchなどプロトタイピングツールの操作
・インタラクションデザインスキル
・デザインガイドライン作成、コンポーネント管理
・アジャイル開発やスクラム開発の知識
WEBデザイナー
<役割>
WEBサイトのデザインを担当し、ユーザビリティを考慮したレイアウトやインターフェースを設計します。SEOやデバイスに応じた表示のレスポンシビリティにも配慮します。
<必須スキル>
・Adobe XDや、Figma、Sketchなどプロトタイピングツールの操作
・UX/UIデザイン、レスポンシブデザイン対応
・HTML、CSS、JavaScriptの知識
・LP制作、LPO
・GAやヒートマップを使用したCVR改善
業務委託デザイナーを選定する際は、プロジェクトのニーズに応じてこれらの専門スキルを持つ人材を起用することが、成功のカギです。それぞれのデザイナーが持つ独自のスキルと経験を最大限に活用し、プロジェクトの質を高めましょう。
業務委託で活躍されるデザイナーの共通のスキルセット
デザイナーには、技術的なスキルだけでなく、プロジェクトを成功に導くための非技術的なスキルも重要です。以下に、デザイナーに求められる共通スキルの例を紹介します。
ビジネス理解
デザイナーは、単に美しいデザインを作るだけでなく、企業のビジネス目標やブランド戦略を理解する必要があります。プロジェクトの成功には、デザインが企業の目標にどのように貢献するかを理解し、デザインに反映させることが欠かせません。
ヒアリング力
デザイン業務の多くは、クライアントの課題を解決することが目的です。そのためデザイナーが、クライアントやプロジェクト関係者から正確に課題やニーズを聞き出し理解することが重要です。これらは必ずしも明確に言語化されていないことが多く、指示が不十分な場合もあります。そのため、デザイナーには優れたヒアリング力が求められます。初期段階で期待される成果や目的を適切に引き出せることで、成果物が期待とずれるリスクを軽減できます。
チームメンバーとしての協調性
デザインは多くの場合、チームで進められるため、他の部門やプロジェクトメンバーと円滑に連携できる力が必要です。フィードバックを受け入れたり、他のメンバーの意見を尊重しながらプロジェクトを進める姿勢が求められます。
業務委託で活躍するデザイナーの稼働事例(予算相場例)
デザイナーはその専門性に応じて、さまざまな業界で活躍しています。専門分野によって、支援可能な業務や報酬も多様です。以下に、代表的なデザイナーの種別と具体的な業務、稼働時間および報酬金額の事例を紹介します。
デザインオプスマネージャー
<業界>
IT業界
<相談内容>
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やブランド浸透の相談をいただく。
<主な課題>
組織の急拡大にともない、社員同士の軋轢や齟齬が起きやすくなっていたこと。また部門間で業務への向き合い方が異なり、組織一丸となった協業ができず、企業全体としての生産性向上を阻害していた。
<支援概要>
・ブランド戦略の策定
・ガバナンスの推進
<支援詳細>
ブランドの社内外浸透を目的としたタスクフォースを結成。既に構築されたブランドアセットをマネジメント層に浸透させ、部下への評価やフィードバックを支援することで、各事業部メンバーがブランドコンセプトを理解し実行できる体制を整えた。また社外におけるブランド認知向上を図るため、外部発信やクリエイティブコントロールを強化した。
<稼働時間 / 報酬金額>
・稼働時間:月64時間
・報酬金額:月80万円
ブランドプランナー
<業界>
飲食業界
<相談内容>
全国的にチェーン展開をしている大手飲食店から、集客数向上に向けたブランド強化の相談をいただく。
<主な課題>
主要ターゲットの来客数・来店頻度の低下が発生していたこと。従来のマーケティング戦略の依存度を下げ、最新の顧客インサイトをふまえた戦略の練り直しが必要であった。
<支援概要>
・ブランド戦略
・コンセプト設計
・コミュニケーション・メッセージ開発
・クリエイティブディレクション・ハンドリング
<支援詳細>
主要ターゲットへのアピール強化のため、ブランドコミュニケーションとクリエイティブ戦略を刷新した。各メディアで戦略に則ったコミュニケーションを展開した結果、来店頻度と客単価が向上した。また同社の別ブランドに対しても、クリエイティブ戦略を横展開する足掛かりとなった。
<稼働時間 / 報酬金額>
・稼働時間:月96時間
・報酬金額:月85万~90万円程度
プロダクトマネージャー
<業界>
金融業界
<相談内容>
大手金融会社から、DXプロジェクトのマネジメントの相談をいただく。
<主な課題>
旧態依然とした現状維持志向が組織に定着し、DX化推進の意思決定を阻害していたこと。新規事業を次々に生み出せる組織にするため、消費者インサイトを取り入れた新規事業の開発、UI設計やデザイン視点を強化する必要があった。
<支援概要>
・新規事業立案
・プロダクトマネジメント
・プロジェクトマネジメント
・マーケティング戦略
<支援詳細>
主軸事業である金融サービスで培ったアセットを活用し、BtoC向け金融特化のLive配信アプリを企画。事業立案、ブランド戦略、プロダクト開発、デザイン設計など、各チームが一体となる組織体制のもとで、PMFに向けて稼働中。
<稼働時間 / 報酬金額>
・稼働時間:月96時間
・報酬金額:月85万~
クリエイティブディレクター
<業界>
AI業界
<相談内容>
カンパニーサイトのフルリニューアルの相談をいただく
<主な課題>
説明が難しいサービスの為、何ができて、どこに競合優位性がある会社なのかサイトを一目みただけではわかりにくい設計になっていた。ステークホルダーにとって必要な情報がキャッチしやすい動線整理と、ブランディングの強化、CTAの改善が課題だった。
<支援概要>
・事業内容の整理、ワーディング選定
・コンセプトメイキング
・サイトマップ制作、ワイヤーフレーム制作
・クリエイティブ制作、コーディング
<支援詳細>
初心者でもAIエンジンやサービス内容を直感的に理解できるよう徹底的に情報を整理し、わかりやすい言語やネーミングを提案。サイト構成には物語性を持たせ、初見のユーザーでもスムーズに理解できる導線を設計。既存のデザイン規範を踏襲しつつ、独自の”らしさ”を引き立てる新たなビジュアル提案を行った。サイト全体の戦略からクリエイティブ制作の最終アウトプットまで監修し、企業のブランド価値向上を強力にサポートした。
<稼働時間 / 報酬金額>
・稼働時間:月96時間
・報酬金額:月75万~
プロジェクトマネージャー
<業界>
人材業界
<相談内容>
マッチングプラットフォームのPoCからリリース、事業推進の相談をいただく
<主な課題>
想定している主要ユーザーに関して、調査によるニーズ確認が十分でなかったこと。またキャッシュフローのシミュレーションができておらず、事業の成立性が不透明であったため、ビジネスモデルの設計と組織体制の構築を行う必要があった。
<支援概要>
・プロジェクト進行管理
・外部ベンダー管理
・ステークホルダーとのコミュニケーション
<支援詳細>
ニーズ調査やPoCをおこない、予算投下を判断するためのプロセスを整備。また複数の潜在顧客へフリーミアム版を提供し、ビジネスモデルを検証した。その結果、価格の適正化を図ると同時に、リード獲得を進めることができた。
<稼働時間 / 報酬金額>
・稼働時間:月96時間
・報酬金額:月75万~
UI/UXデザイナー
<業界>
医療業界
<相談内容>
新規医用アプリケーションのUI/UX制作を相談をいただく
<主な課題>
新規プロダクト開発のため、医療現場でのニーズや課題感を的確に把握しながら設計に落としこまなければならなかったこと。また人材不足の中、市場調査やユーザーヒアリング、要件定義からシステム設計までを包括的に行ない、プロジェクトをリードする必要があった。
<支援概要>
・ユーザーヒアリング
・課題発見/要件定義/情報設計
・コンセプト設計
・プロトタイピング
・UI/UXデザイン
<支援詳細>
医師や検査技師との綿密なヒアリングを通じて課題を整理し、プロトタイプ設計に反映した。コンセプトの設計段階からUI・UXの構築を支援し、医療現場のニーズに応えるアプリケーションの開発に貢献した。
<稼働時間 / 報酬金額>
・稼働時間:月96時間
・報酬金額:月75万~
WEBデザイナー
<業界>
アパレル業界
<相談内容>
キャンペーンの実施に合わせたWEBサイトやECサイトの更新、LPやバナー、特集ページの制作を相談いただく
<主な課題>
従来の制作体制において、納期遅延が慢性的に起こっていたこと。コミュニケーションコストの増大が要因の一つであったため、社内人材と同様のレベルで迅速に対応できる人材が必要であった。
<支援概要>
・ワイヤー設計
・ブランドガイドラインに伴うクリエイティブ制作
・CVR改善のためのクリエイティブ提案
・広告運用のためのLP、バナー制作
・デザイン、コーディング
<支援詳細>
各クリエイティブのデザイン業務と並行し、デザイナーがスピーディーで円滑な情報共有が行える体制構築を支援。デザイナー自身が社内人材と同等の動きができるよう、コミュニケーションプロセスを標準化した。
<稼働時間 / 報酬金額>
・稼働時間:月96時間
・報酬金額:月55万~
業務委託でデザイナーをアサインする際の留意点
業務委託デザイナーに最大限のパフォーマンスを発揮してもらうためには、アサインまでに組織内でしっかりとした準備をおこなうことが不可欠です。契約を円滑に進め、期待する成果を得るためにも、以下の点をしっかり押さえましょう。
①社内課題と期待値をすり合わせる
外部から迎え入れられるデザイナーは、社内が抱える課題を瞬時に把握することができません。しかし、課題に対する理解が曖昧であると、デザインの方向性がずれ、期待した成果物が得られにくい可能性があります。アサイン時には、デザイナーが解決すべき課題を明確にし、成果物の期待値をすり合わせておくことが重要です。具体的な成果物のイメージやスコープも共有しておきましょう。
②担当者と役割を明確化する
一般的に、関係者の役割や責任範囲が不明瞭であると、チームでの業務を円滑に進めることが難しくなります。業務委託デザイナーと業務を進める際は、社内の誰がコミュニケーションの窓口になるのか、プロジェクトの意思決定は誰がするのかなど、関係者の役割分担を明確にしておきましょう。
③チームメンバーとして迎え入れる
業務委託デザイナーに社内課題の解決を担ってもらおうとする場合、デザイナーをチームの一員として迎え入れる姿勢を整えることも重要です。タスク消化要員として扱ってしまうと、デザイナーが会社のビジョンや課題へ理解を深める機会を奪うことになりかねません。業務委託デザイナーから最適なアウトプットを引き出すためにも、インハウスデザイナーと大差をつけないコミュニケーションを心がけましょう。
④コミュニケーションの方法を決める
業務委託の場合、クライアントとデザイナーは物理的に同じ場所で働かないことが一般的です。必要なコミュニケーションをとるために、あらかじめコミュニケーションの頻度や方法を事前に明確にしておきましょう。プロジェクト管理ツールの活用も有効です。
⑤納期やスケジュールを管理する
業務委託の場合、フリーランスデザイナーや複数のクライアントを持つデザイナーは、異なるプロジェクトを並行して進めていることが多くあります。クライアント側が明確な納期設定と、進捗を定期的に確認するためのマイルストーンを設けることで、プロジェクトが滞ることを防ぐことができます。
⑤契約期間と報酬を合意する
契約期間や報酬についても、業務委託ならではの柔軟性を活かしながらも、プロジェクトの進行具合やデザイナーの負担を考慮した条件を提示することが大切です。支払いタイミングや報酬体系も曖昧にせず、明確に合意しておく必要があります。
⑥NDA(秘密保持契約)を結ぶ
機密情報を取り扱う可能性があるため、デザイナーにはNDAを締結してもらうことが一般的です。特に製品の開発や企業の戦略に関わるデザイン業務では、情報漏洩のリスクを防ぐために厳密な契約を結んでおきましょう。
最後に
業務委託デザイナーの活用は、事業を推進する上で大きなメリットがありますが、そのためには事前の準備が欠かせません。デザイナーを外部のベンダーとしてではなく、社内デザイナーと同じように迎え入れ、チームの一員としての体制を整えることで、より高いパフォーマンスを引き出すことができます。特に、業務委託デザイナーに期待する役割や成果を明確に整理しておくことは特に重要です。
株式会社縁の縁デザインにはエキスパートのデザイナーをネットワーク化しており、業務委託での提供が可能です。貴社のクリエイティブ課題に対しデザイナーが伴走する形でご支援が可能な為、「持続可能な事業成長」に貢献いたします。クリエイティブに課題をお持ちの企業様はお問い合わせください。